音楽界に革命を起こし、若い世代を中心に絶大な支持を誇るラッパーLil Nas X(リルナズエックス)。
今回はそんな若き異端児の今までのキャリアと、音楽について解説していきます。
Lil Nas XのYoutubeアカウントはこちらから↓
Lil Nas Xーインターネットでの成功までー
Lil Nas Xの基本情報
Lil Nas Xこと本名モンテロ・ラマー・ヒルは1994年4月9日にジョージア州アトランタで誕生します。
ちなみにアメリカには珍しいこの「モンテロ」という名前は、彼の母親が憧れた日本車「三菱モンテロ」日本ではパジェロにちなんで付けたもの。
身長は186cm体重78kgと恵まれた体格で、vlogなどではジムで鍛え上げている動画も見ることができます。
インターネットの有名人
10代の前半で周囲から孤立してしまったリルナズ。
そんな彼が没頭したのはSNSでした。フィメールラッパーのニッキーミナージュのファンアカウントを作ると、そこで大量のミーム(ネタ画像や動画)を投下。
そしてtwitter上で数十万人のフォロワーを抱えたリルナズは、このアカウントをアーティストリルナズエックスとしてのアカウントに変更します。
このアカウントでリルナズは、カントリーミュージックがバズりやすいことを発見し、これにダンスやリリックといった要素を絡めることで、一大ブームを築けるのではないかと考えました。
ちょうどこの頃2018年の夏、リルナズは音楽キャリアを本格的に始動するために大学を中退し、兄妹の家に住みながらSoundCloud上に楽曲をアップし始めます。
この頃はクローゼットでリリックを描くなどをしていたリルナズ。
インターネット上で匿名で30ドルで買ったビートを用いて楽曲作成を開始。
そして2018年の10月に『Old Town Road』を完成させ、12月3日にリリースします。
この曲のプロモーションとして数百にも及ぶミームを用意したリルナズは、リリースと同時にこれらをネットに拡散。
この戦略が見事ヒットしTikTokで#Yeehaw Challengeが大流行します。
『Old Town Road』の歌いやすい歌詞と子供でも触れやすい内容だっためここまでのヒットを生み出しました。
この曲ははまた、ホット・カントリーソング・チャート19位、ホット・R&B /ヒップホップソング36位に初登場しますが、この後、ビルボードカントリーチャートから名前を消してしまいます。
その主な理由はカントリーミュージックは白人のもので、黒人が歌うのはおかしいという考え方からだと主張したリルナズはこれを非難し、逆にプロモーションとして話題になります。
これに対してビルボードの広報担当者は、「カントリーチャートから曲を削除したビルボードの決定は、アーティストの人種とはまったく関係のないことです」と人種差別ではないと返答します。
そして2019年4月、この事態にリルナズ側に味方についたカントリーミュージック界の大御所Billy Ray Cyrusと共に再度『Old Town Road』をリリースし、ビルボード側もカントリーチャートにこの曲を復帰させます。
このコラボ曲は1週間で1億4千万回の再生を超えました。
止まるところを知らないこの曲は、ビルボードホット100で19週連続ナンバー1となり、1958年に同チャート始まって以来の記録を叩き出します。
そして6部門をノミネートされ迎えたグラミー賞で見事、ポップ・グループ/デュオ歌唱賞、音楽ビデオ賞を受賞することに成功します。
またグラミー賞の授賞式ではBTSなどと共にパフォーマンスし、年齢、人種やセクシャリティを超えたライブを披露しました。
カミングアウトとヒットの連続
『Old Town Road』の人気絶頂期、2019年6月のゲイプライド月間にリルナズは、家族にゲイであるとカミングアウト。
6月30日にはtwitter上でゲイをカミングアウトしたことにより、ビルボードナンバー1史上はじめてのカミングアウト・アーティストとなりました。
世間からの反応は賞賛も大きかったですが、ヒップホップとカントリーという保守的な層を相手にしているため、同性愛への嫌悪が浮き彫りにもなりました。
当初ファンたちの反応が気掛かりであったというリルナズですが、カミングアウトを通して、ゲイであることを楽曲でも全面に出すようになります。
そして2021年『MONTERO(Call Me By Your Name)』をリリース。
歌詞にはゲイであることを隠さず、むしろ全面に押し出すスタイルが見て取れ、MVも刺激的なものとなっており、これもまた世界的ヒットを生み出しました。
『MONTERO(Call Me By Your Name)』でも成功を掴み、ビルボードシングルチャートで初登場一位に。
インターネット出身のアーティストはよく一発屋になりやすく、リルナズもよく一発屋と言われていたが、この曲で見事スタートしての立ち位置を示します。
『MONTERO(Call Me By Your Name)』の直後にリリースした『SUN GOES DOWN』は自身の辛い過去や未来への希望を込めた歌詞でティーンを中心に大きな支持を得ます。
そしてコロナ禍2021年7月にリリースした『Industry Baby』は「業界の革命児」という意味で、ゲイと言われたことに対しての想いや、自分が成し遂げたことなどをジャックハーロウと共に歌い上げます。
挑戦的でかっこいい歌詞は瞬く間に話題となり、そのかっこいいサウンドはTikTokを中心に大流行し、さまざまな動画に使われ出します。
#respectを付けたすこ技集などでよく使われているこの曲は、日本の方に一番知られているリルナズの代表曲ではないでしょうか?
Industry Babyの和訳はこちらから↓
stuenlab.com/lil-nas-x-industry-baby/こちらの曲も過激なMVですが、『MONTERO(Call Me By Your Name)』と同じく過激にした意図は、同姓同士のセクシャリティな表現も当たり前になってほしいという意味がこもっています。
そして『THATS WHAT I WANT』では誰か自分を愛してくれる存在が欲しい!と強く願う歌で、この曲も冒頭の”Need a boy〜”からわかるように同性愛の歌となっています。
ただリズミカルなメロディーと歌詞は若者を中心に、幅広い層に受け、この曲もまたヒットを飛ばすこととなります。
その後もさまざまなシンガーやラッパーとコラボし、ティーンの顔として、業界の革命児としてそして音楽界随一の異端児として、地位を確固たるものへとしていきます。
『STAR WALKIN』は大ヒットオンラインゲームLeague of Legends Worldsのアンセムになっています。
この曲では力強く自分に自信を持つ歌詞となっていて、過去には和訳もしているのでよろしければぜひチェックしてください!
stuenlab.com/lilnasx-starwalking/まとめ
緻密なセルフプロデュースにより音楽界に颯爽と現れた革命児Lil Nas X。
ゲイをカミングアウトした彼は、セクシャリティに対する批判や、過去の自分、一発屋の汚名などと戦い、ティーンエイジャーを中心に爆発的ヒットを手にしました。
超高額な契約でレーベルと契約した彼ですが、過激さ、オリジナリティは止まるところを知らず、さらなる活躍が期待できる、今やアメリカを代表するアーティストへと成長しました。
SNSだと嘘かほんとかよくわからないことを呟いたりしていてお世話がせのリルナズ。
そんな彼も2023年には日本に来日。
日本でも相変わらず騒がしく、プチ炎上もしましたが本人は気にせず、変わらぬ活動を続けています。
最後に日本でファンに気づかれないリルナズが面白いので、今日はこれで締めたいと思います。